前代未聞の公開大げんかをしたトランプ大統領とウクライナのゼレンスキー大統領(時事通信フォト)
「約1か月後の執行を控え、弁護側は“ある要望”を出しました。死刑囚が“極度の肥満”であることなどから、死刑執行停止を求めたのです」(同前)
CBSニュースなどによると、弁護士は、タンジ死刑囚の肥満のせいで鎮静剤がしっかりと効かず、体が麻痺状態になっても意識が消失しない可能性があると訴えたのだ。また執行の際には、「座っている間に座骨神経痛が痛む」ため、「残虐で異常な刑罰を禁じる合衆国憲法修正第8条に違反する」と主張しているのだ。
「死刑囚なのに『肥満』に『座骨神経痛』とは……と思うかもしれません。しかし薬物注射による死刑執行で、問題が多く起きているのも事実なのです」(同前)
薬物注射による執行は「安楽死と近く、最も人道的な執行方法」とも言われているというが、一体どんな問題が起きているのだろうか。
「この10年、米国での薬物注射による執行失敗例は枚挙にいとまがありません。2014年7月にはアリゾナ州で、交際相手の女性とその父親を射殺したジョセフ・ウッド死刑囚(55)が、薬物注射後に1時間40分にわたり苦しんだ“事故”が発生。
最近では、昨年2月、アイダホ州で連続殺人犯として有名なトーマス・クリーチ死刑囚(当時74)の執行が行われましたが、腕や足などに8回注射針を刺したものの静脈が見つからず、執行を停止したケースもありました。結局、彼は現在も生きています 」(同前)
そんな中、薬物注射による執行を拒否して、前時代的な銃殺刑を選んだ死刑囚もいる。