「御見舞い/身内」と書かれた熨斗袋
被害女性に渡された「100万円」の「見舞金」
確かにB氏が最高僧として影響力を持つ教団内の空気に流された決定だったと考えれば、問題の構造は、経営陣が加害者である元タレントの中居正広氏に忖度して問題を先送りしたフジテレビの体質とぴたりと重なる。
フジテレビ問題では先日公表された第三者委員会の調査報告書を通じ、中居氏にかわって編成局幹部が被害女性に100万円の「見舞金」を届けていたことが明らかになったが、天台宗でも、「阿闍梨(大僧正のB氏)が女性を差し出したのだ」という趣旨をA氏が発言する録音テープまで聞かせて窮状を訴えた叡敦さんに対し、B氏は100万円を入れ「御見舞」と記した熨斗袋を渡しているなど共通点も見受ける。
フジ問題では今回の調査報告書が企業の隠蔽体質にも広くメスを入れた問題提起をして一歩前進が図られたが、天台宗ではそうした解決プロセスには程遠い。筆者は、叡敦さんの会見に先立って天台宗の審理局と宗務総長宛てにそれぞれ質問を送った。まず“裁判所”にあたる審理局の回答。
――審判決定で認定された事実関係はどのようなものか。B氏が免責された理由は?
「天台宗務庁の調査結果及び提出された書類を根拠に審査した結果です」
――叡敦さんを審判会に呼ばなかったのはなぜか。
「被申立人の精神的負担を軽減するためです」
驚くべきことに、叡敦さんを呼ばなかったのは被申立人すなわち、「加害側の2人」の「精神的負担を軽減」するためだったという。申立人である叡敦さんの負担軽減のためではないのだ。