最高裁判所
国家公務員である裁判官になるには、司法試験を突破したら司法修習生を経て、司法修習考試、採用試験と、超難関な試験を突破し続けなければならない。エリート中のエリートなため、「高収入である」というイメージを抱かれがちだ。しかし、実際は独自の給与体系があり、初任給は特別高いわけではないという“ざんねんな実態”があるのだという。
自身も裁判官を20年間務めた井上薫氏が、裁判官の給与体系を明かす。裁判官の実態を丸裸にした井上氏の著書『裁判官の正体 最高裁の圧力、人事、報酬、言えない本音』(中公新書ラクレ)より、一部抜粋して再構成。【全3回の第3回。第1回から読む】
裁判官の報酬
細かなことを説明するよりも、裁判官の報酬月額の一覧表(令和5年4月1日現在)を見れば、裁判官を取り巻く環境や実情が具体的かつ現実的にわかります。これは法律によって規定されているもので、階段に分かれているのがわかります。最高裁判所長官と最高裁判所判事は特別なポストですから、これを除いて考えましょう。
そうすると、裁判官の出世の最終段階である高等裁判所長官となると130万円あるいは140万円程度になっています。裁判官になりたての場合は、判事補に任命されて、その12号(最も低い段位)の報酬を受けます。これが23万7700円となっています。判事補は10年間続きます。判事補の一番上の1号を見ると、42万1500円です。10年経って判事に任命されるとその最初が51万6000円となっています。これで、裁判官がどの程度の報酬を得ているかを見ることができるでしょう。