スーパーでのコメ販売価格は5キロ当たり4000円を3月に突破。以後も上がり続けている。3月21日、東京都練馬区のスーパー「アキダイ関町本店」(時事通信フォト)
通信社や全国紙はこれを「責任を重く感じている」「申し訳ないと思っている」など要約しているが、端折ることなくこうして一字一句きちんと起こしてみると印象は変わるものだ。ちなみに謝罪なのに「申し訳ないと、私自身もですね、思っておりますよ」の「よ」は「余計」だと筆者も思っておりますよ。
「(コメの輸入について)日本の米の国内生産がですね、大幅に減少してしまうということがですね、国益なのかということはですね、国民全体として考えていただきたい」
この江藤農水大臣の会見、農林水産省の公式YouTubeチャンネル「maffchannel」でも観ることができる。4月23日20時40分時点で1338 回視聴しかなく可哀想なのでぜひ観てあげて欲しい。案の定コメント欄は閉じられているが。まあ、大臣のこの発言も姿勢もまた「ご覧の通り」である。国民全体として考えていただきたいそうだ。どうしよう。
筆者は2024年9月に『《令和の米騒動リポート》足りないのは安い米? 米は本当に不足しているのか 米農家は「価格の知覚がおかしな消費者が増えた」』を書いたが、あれから半年以上を経ても解消されない。むしろ米の小売価格は上がり続け、都内ではブランド問わず5キロで4000円から5000円程度、これまで知られていない国内産地の銘柄でも4000円を切ることは少ない。有名産地のブランド米なら5キロ6000円とか7000円、それ以上という店もある。
「この辺には買い占めるほどないよ」
都内の中堅スーパーマーケット、副店長の話。
「倍近い価格ですね。コメがあるだけましというか、この周辺のスーパーでコメがない店もありますから」
副店長の言う通り別のスーパーの「お米コーナー」はパックご飯が山積みだった。眺めていた高齢女性に聞くと「お米がないって怖い」と語った。
主食が無くなるのではという潜在的な不安感、少し離れた業務用食品系のスーパーでは高齢の男性が少ない選択肢の中から一番安い4000円ちょっとの馴染みのない産地のブランド米を買っていた。「それでも4000円を超えるなんてね」と苦笑い。「ちょっと前まで2000円で買えたのに」とも。
中学生の娘さんを連れた母親いわく「うちは家族が多くてね。麺類を増やしてる」とのこと。確かに各スーパーのお米コーナーにはパスタやうどんを代わりに並べている店もあった。パックご飯すら品薄の店舗もあった。