「うで体」「あし体」理論は「予防医学」
ここまでは、日常生活に役立つ理論の解説をしてきました。ですが、私の理論は今後、リハビリや医療的な分野にも活用できるのではないかと考えています。実際、福岡記念病院では、リハビリを必要とする患者さんに対し、鴻江理論をもとにしたイスからの立ち上がり方や歩き方の実証実験をしていただきました。
また、パーキンソン病を抱えていたり、人工股関節の手術を受けた患者さんの実証実験では、歩行スピードの向上や歩幅の拡大、歩行時の姿勢改善といった目に見える変化はもちろん、気持ちが前向きになったり、歩行に対して安心感があるといった感想をもらうことができました。
もちろん、限られた事例であり、すぐさま医療の現場に用いることができるわけではありません。ただ、この先長い人生、いつまでも元気にいられることは、豊かな最後を迎えるためには重要なことです。言うなれば、私の理論は病気を治すのではなく、「予防医学」なのです。人生の終着点を「Vサイン」で向けるための、無限の可能性を秘めていると信じています。
取材・文/祓川学