警察中堅幹部が話を引き継ぐ。
「選挙運動中の警護には、日本ならではの難しさもあります。直接選挙の米大統領と、小選挙区と間接選挙による日本の首相の差ですが、大会場での選挙演説と、小規模集会や車座対話を繰り返す“ドブ板選挙”は警護の負担が段違いです。
聴衆を一人一人チェックしようとすると『顔見知りしかいない』と議員事務所や党関係者から断られることすらあります。政治家は人気商売ですが、有権者と小まめに握手を交わして愛想をふりまくより政策で勝負する意識が、自身を守る上でも重要だと理解して欲しい」
選挙運動と要人警護の両立には、まだ高いハードルがある。
【プロフィール】
宇佐美蓮(うさみ・れん)/1960年代、東京都大田区生まれ。ジャーナリスト。元マスコミ記者で、警視庁や警察庁の取材に長く携った。著書に小説『W 警視庁公安部スパイハンター』がある。