2023年4月から自転車乗車時にヘルメットの着用が全年齢で努力義務化された(時事通信フォト)
免許証のいらない自転車は、反則金の納付を伴う交通反則通告制度が適用されないため青切符(あるいは白切符)が切れない。実のところいきなり赤切符、免許停止や免許取消処分と罰金を伴う告知票・免許証保管証の交付は可能だが、制度上はそうであっても自転車の違反に赤キップ、は現実的ではなかった。ある意味で「人質」に取れる免許証そのものがない。そこで道路交通法改正案で2026年までに自転車にも青キップを切れるようにした、ということになった。
都内の50代トラックドライバーが語る。
「自転車は怖いよ。交通ルールもなにもないからね、信号は守らないし逆走は当たり前、とくに怖いのは一時停止しないことかな、どうにもならないよ」
この「自転車は一時停止しない」は筆者も以前から本当に怖いと思っている。車やオートバイを運転していて一時停止しないで突っ切ってくる自転車のなんと多いことか、都内の急な坂道を一時停止無視、全速力で下って車の側面に突っ込んだ自転車を目撃したことがあるが車のドアはべっこり凹んでいた。自転車の人はすぐ起き上がる程度で済んだが自転車でもその衝突エネルギーはそうとうなもので、実際に自転車と衝突して死傷した歩行者の数は警察庁によれば2022年に312人、こちらも前年から増えた結果となった。
「自転車がいくら悪くても車は不利だからね、保険に入ってない自転車も多いだろうしヘルメットだって実際に街を見ればほとんど被ってないじゃないか」
自転車のヘルメット着用は努力義務、当初は買い求める人でヘルメット不足などと言われた時期もあったがいまはどうか、正直、都心を一日歩いてもヘルメットを被って自転車に乗る人など子どもとごく一部(仕事上、会社から着用が義務づけられている人など)でしかないのが現実だ。実際、警視庁によれば自転車用ヘルメットの着用率は10%未満、新潟県などは県全体で着用率2.4%と「ほぼ誰も」被っていない。
「自転車を免許制にしろとまでは言わないけど、車と同じように罰金取るのはいいと思う」
事故の過失割合は一概には言えないものの、やはり一般的には車に分が悪いことが大半だ。ちなみに警視庁によれば自転車による死傷事故は前方不注意、安全不確認、歩行者妨害がワースト3でいわゆるスマホや音楽を聞きながらの「ながら運転」や一時停止をしない、左右確認をしない、そして歩道走行で人をはねるといった日々繰り返される事故が圧倒的な割合を占める。