自転車が車道を安全に走れるようにするため、走行ルートを路上に示した「自転車ナビマーク」(時事通信フォト)
車道をママチャリで走るのが難しいのはわかる
自転車販売コーナーの担当を経験したことのある40代ディスカウントショップ店員の話。
「誰でも乗れるわけですからね、そりゃとんでもないお客さんもいましたよ。修理に持ち込むのだってまるっきりメンテナンスしてない自転車ばかりでいつ事故ってもおかしくない車両ばかりでした。あと電動自転車は本当にスピード出るので気をつけてくださいと説明はするのですが、私も車に乗っていて、本当に危ないなあと思うことは多いです」
自転車事故の増加と電動アシスト自転車(以下、電動自転車)の因果関係は明確でないが、子ども二人を乗せた親御さんが電動自転車で交通ルールなど一切守らず走る光景は「日常」の風景である。忙しいのもわかるし子育てが大変なのもわかるが、例えば足立区で環七をお子さん乗せたまま横断禁止なのに渡る光景など目の当たりにすると怖いな、と思う。
趣味として自転車に乗る筆者の知人であるアマチュアレーサーは「本来は原則、自転車だって車やバイクと同じ扱いのはずですよ」と昨今の自転車の事故増加とそれに伴う罰則の強化にこう語る。
「車道を走るにしたって自分の都合でときに車と同じ、ときに歩行者と同じって感じで信号無視や通行区分違反を繰り返してるのとか普通にいますからね。これまで罰則はあっても形骸化していたし、車やバイクみたいに罰金とられるわけじゃないからナメられてるんでしょう」
自転車乗りだからこそ「いっしょにされたくない」とのことだが、車やオートバイと同様にしっかり走っている自転車乗りはいる、しかし「たかが自転車」と乗る人が多数なのは事実で、いわゆる「ママチャリ」の類いはとくにそうだと思う。今回の一斉取り締まりも筆者の取材の限りも電動自転車を含めたママチャリがほとんどだった。
「でも車道をあれで走るのが難しいのはわかるんですけどね。都心の大通りなんてママチャリで車道走ったら怖いなんてもんじゃないですよ。日本は自転車が安全に走る環境って昨日今日考えたってレベルなんで、自転車レーンも少ないし自転車ナビマークなんて現実には意味ないですから」