交差点に設けられた「自転車ナビライン」上を走る自転車」(時事通信フォト)

交差点に設けられた「自転車ナビライン」上を走る自転車」(時事通信フォト)

 東京都の道路だけに見られる自転車ナビマーク・自転車ナビラインは、東京五輪への準備の一環として決定した自転車通行空間整備によって実施されて広まったもので罰則などもない、法令の定めがない表示だ。自転車ナビマークは道路の主に左端に描かれた白く描かれ、自転車ナビラインは主に交差点に緑色で路面に示されている。あくまで自転車が通行すべき部分及び進行すべき方向を明示するためのものであって、全国共通のルールである自転車専用レーンとは違う。

 自転車レーンは自転車専用通行帯で自転車以外の通行や駐車は禁止だが、自転車ナビマーク・自転車ナビラインはそういう意味での効力はほとんどない。ごっちゃにされることのある両者だが、自転車ナビマーク・自転車ナビラインは「法定外表示」のため路駐が連なってしまうケースがある。罰則強化と環境整備のバランスが悪いため分断が起こる、車とバイク、自転車、商用と自家用、歩行者、そして近年だと電動キックボードか。一部の軽薄者たちの運転がその乗り物とそれに乗る人々にも迷惑をかける、自転車の大規模な一斉取り締まりと2026年までの罰則強化もまたそうした残念な現実に由来している。

 ともあれついに行われた大規模な自転車の一斉取り締まり、これが青キップ導入となれば警察はこれまで以上に自転車を取り締まることになるだろう。反則金の是非と利権の問題は措くとして警察の本気度、これまでのように「たかが自転車」では済まなくなることは確かなようだ。

日野百草(ひの・ひゃくそう)/日本ペンクラブ会員。出版社勤務を経て、社会問題や社会倫理のルポルタージュを手掛ける。

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