サッカーの国際審判員を2014年に退任後、JFAの「プロフェッショナルレフェリー」として指導的役割を果たす西村雄一氏(撮影/田中麻以)
審判の道を志し15年で「国際審判員」に
1999年(当時27歳)に1級審判員となった西村は、その5年後に国際審判員(主審)に任命された。国際審判員とは国際サッカー連盟(FIFA)やアジアサッカー連盟(AFC)が主催する国際大会を担当できる審判員だ。毎年、各国のサッカー協会(連盟)がレフェリング能力、年齢、語学力などを総合的に判断して推薦する。その中から国際サッカー連盟が承認した者だけが国際審判員として登録されるという、極めて狭き門だ。
審判の道を志してから15年を経て国際審判員となった西村だが、審判に求められる能力をどのように考えているのだろう。
「ピッチ上では先輩たちが経験してきたことから学んで実践しようとするのですが、これまで完璧にできたと満足した試合は一度もありません。いまだに上達途中ですし、毎試合、反省することばかりです。もしかしたら、自分のレフェリングに満足できないまま審判生活を終えるのかもしれませんね(苦笑)。
サッカーの基本的なルールは世界共通ですが、実際のプレーシーンには同じものがひとつとしてありません。ワンプレー、ワンプレーを丁寧に判断していくしかないのです」
(第2回に続く)
※『審判はつらいよ』(小学館新書)より一部抜粋・再構成
【プロフィール】
鵜飼克郎(うかい・よしろう)/1957年、兵庫県生まれ。『週刊ポスト』記者として、スポーツ、社会問題を中心に幅広く取材活動を重ね、特に野球界、角界の深奥に斬り込んだ数々のスクープで話題を集めた。主な著書に金田正一、長嶋茂雄、王貞治ら名選手 人のインタビュー集『巨人V9 50年目の真実』(小学館)、『貴の乱』、『貴乃花「角界追放劇」の全真相』(いずれも宝島社、共著)などがある。サッカーをはじめプロ野球、柔道、大相撲など8競技のベテラン審判員の証言を集めた新刊『審判はつらいよ』(小学館新書)が好評発売中。