国内

訪問販売によるリフォーム詐欺が増加中 リフォームだけにとどまらない被害の可能性

特殊詐欺被害防止の啓発キャンペーンやイベントの成果か、電話を入口とした特殊詐欺の実行は難しくなっている(イメージ、時事通信フォト)

特殊詐欺被害防止の啓発キャンペーンやイベントの成果か、電話を入口とした特殊詐欺の実行は難しくなっている(イメージ、時事通信フォト)

 国民生活センターが2023年9月に発表した相談件数のとりまとめによると、訪問販売によるリフォーム工事(「屋根工事」「壁工事」「増改築工事」「塗装工事」「内装工事」の合計)についての相談が増え続けている。実際には行っていない近隣での工事を口実に訪問、屋根工事の契約に勧誘するなどの手口も紹介している。リフォーム詐欺そのものは以前から存在したが、最近のそれは劣悪なリフォーム工事や高額請求をすることの先に、別の目的をもっている可能性があるという。ライターの宮添優氏が、訪問販売によるリフォーム詐欺がはらむ、未来の犯罪被害の可能性についてレポートする。

 * * *
 2024年3月、神奈川県内某市にある住宅街の昼下がり──。

「コロナ明けだし、外はいい天気だし、久々に庭いじりでもしようと夫と話してね。町会でも、コロナ明けで庭がみっともない家が多かったから、景観がどうとか回覧板が来て。この辺りは一軒家ばかりで、お庭のあるお宅ばかりだから」

 住人のSさん(70代)は好天だったその日、コロナ禍のあいだ、ほとんど面倒をみていなかった庭の手入れを決意。一方の夫は、前夜の深酒がたたり未だ布団の中という始末。Sさんは憤慨しつつも、落ち葉を掃き、草をむしるなどして一息ついていたところ、すいません、と若い男の声が聞こえてきた。上下紺色の作業着姿で、ぶっきらぼうに見えたが「向こうで作業をしてるものなんですけど」と、若く穏やかそうな印象だったという。

「あっちで工事してるっていうから、あらどこ(のお宅)かしらとは思ったけど、そこから見たら、うちの屋根が壊れているって、だから親方に伝えてこいと言われたって。コロナで庭も屋根も、家のこと全然やってなかったでしょう、なんて言われて、そういえばそうだったかしらって」(Sさん)

設置したブルーシート代1万円

 Sさん宅があるエリアは、戦後に開発された住宅街。最寄駅からは距離があるものの、一帯は「県内屈指の高級住宅街」と言われることもあり、Sさん宅も敷地120坪、建物も200平米の大邸宅だ。電動式扉のガレージには、国産高級セダンが佇む、どこからどう見ても、かなり余裕のありそうな人が住む家である。のちに「だから狙われた」と警察に言われたというSさんだが、この時に無視できず、話を聞いてしまったのが間違いだった。

「あら親切にどうも……というより、壊れているとか雨漏りとか言われたら嫌じゃない?すぐに梅雨でしょう?『どんな感じか見てあげますよ、ついでだし、見てなんともなかったらお金もいらない』とハッキリいわれたんです。夫に相談しようと起こしに行ったら、もう外にハシゴかけて屋根に登ってたんですよ。バタバタしているから夫も慌てて起きてきて、なんで屋根に人が上がってるんだと怒り始めました」(Sさん)

関連記事

トピックス

屋根工事の足場。普通に生活していると屋根の上は直接、見られない。リフォーム詐欺にとっても狙いめ(写真提供/イメージマート)
《摘発相次ぐリフォーム詐欺》「おたくの屋根、危険ですよ」 作業着姿の男がしつこく屋根のリフォームをすすめたが玄関で住人に会ったとたんに帰った理由
NEWSポストセブン
人が多く行き交うターミナル駅とその周辺は「ぶつかり男」が出現する(写真提供/イメージマート)
《生態に意外な変化》混雑した駅などに出没する「ぶつかり男」が減少? インバウンドの女性客にぶつかるも逆に詰め寄られ、あわあわしながら去っていく目撃談も
NEWSポストセブン
現在はニューヨークで生活を送る眞子さん
「サイズ選びにはちょっと違和感が…」小室眞子さん、渡米前後のファッションに大きな変化“ゆったりすぎるコート”を選んだ心変わり
NEWSポストセブン
大の里、大谷
来場所綱取りの大関・大の里は「角界の大谷翔平」か やくみつる氏が説く「共通点は慎重で卒がないインタビュー。面白くないが、それでいい」
NEWSポストセブン
悠仁さまの通学手段はどうなるのか(時事通信フォト)
《悠仁さまが筑波大学に入学》宮内庁が購入予定の新公用車について「悠仁親王殿下の御用に供するためのものではありません」と全否定する事情
週刊ポスト
すき家がネズミ混入を認める(左・時事通信フォト、右・Instagramより 写真は当該の店舗ではありません)
味噌汁混入のネズミは「加熱されていない」とすき家が発表 カタラーゼ検査で調査 「ネズミは熱に敏感」とも説明
NEWSポストセブン
男性キャディの不倫相手のひとりとして報じられた川崎春花(時事通信フォト)
“トリプルボギー不倫”の女子プロ2人が並んで映ったポスターで関係者ザワザワ…「気が気じゃない」事態に
NEWSポストセブン
CM界でも特大ホームラン連発の大谷翔平
【CM界でも圧倒的な存在感の大谷翔平】「愛妻家」のイメージで安定感もアップ、家庭用品やベビー用品のCM出演にも期待
女性セブン
堀田陸容疑者(写真提供/うさぎ写真家uta)
《ウサギの島・虐殺公判》口に約7cmのハサミを挿入、「ポキ」と骨が折れる音も…25歳・虐待男のスマホに残っていた「残忍すぎる動画の中身」
NEWSポストセブン
船体の色と合わせて、ブルーのスーツで進水式に臨まれた(2025年3月、神奈川県横浜市 写真/JMPA)
愛子さま 海外のプリンセスたちからオファー殺到のなか、日本赤十字社で「渾身の初仕事」が完了 担当する情報誌が発行される
女性セブン
昨年不倫問題が報じられた柏原明日架(時事通信フォト)
【トリプルボギー不倫だけじゃない】不倫騒動相次ぐ女子ゴルフ 接点は「プロアマ」、ランキング下位選手にとってはスポンサーに自分を売り込む貴重な機会の側面も
週刊ポスト
ドバイの路上で重傷を負った状態で発見されたウクライナ国籍のインフルエンサーであるマリア・コバルチュク(20)さん
《ドバイの路上で脊椎が折れて血まみれで…》行方不明のウクライナ美女インフルエンサー(20)が発見、“危なすぎる人身売買パーティー”に参加か
NEWSポストセブン