インターホンに貼られた警視庁の防犯ステッカー。2024年4月(時事通信フォト)
警察によれば、付近でも同様の事案があったといい、被害届を出すか、という話になったが簡単にはいかなかった。
「結局、昨日までに絶対に壊れていなかったか、とか、最後に見たのはいつだとか色々聞かれるうちに、だんだん自信が無くなっちゃってね。業者さんが気の毒がってサービスしてくれたけど、修理に何万ってかかったのよ」(Sさん)
結局、Sさんはその後、業者を特定したり、訴えようとはしなかった。
リフォーム詐欺の、その先へ
筆者の調べによれば、こうした被害は関東だけでなく、全国各地に拡大している。とくに2019年に千葉・房総半島に甚大な被害をもたらした台風被害後に、顕著に見られるようになった。リフォーム詐欺といえば、筆者もその全盛とされるおよそ20年前から事情を追っているが、さまざまな背景を理由に、いま再び急増している。捜査関係者が明かす。
「災害が起きると被災地に押しかけて、自宅が壊れて困っている被災者宅にブルーシートをかけ、そのままむりやり売りつける悪質業者は以前からいました。それと同じような連中がその後、悪質な訪問リフォーム詐欺に合流している。コロナ明けで、対面式の詐欺が増えつつありリフォーム詐欺のような事案も多く発生している」(捜査関係者)
さらに、かつて悪質リフォーム業者の社員として働いた後、別の詐欺で逮捕された経験のある会社役員・坂田晃さん(仮名・50代)は、オレオレ詐欺が当局の摘発などで締め付けられ、”仕事”としてダメになったことが背景にあると説明する。
「電話だともう、オレオレ対策がたてられていて通用しないから、昔みたいに最初から余裕のある高齢者の家を狙えない。架空請求ハガキも読まない、受け取らないから、直接、払えそうな家へ行くというのが詐欺師にとって手っ取り早くなってきているのではないでしょうか。その入り口が訪問型リフォーム(詐欺)ですよね。リフォーム詐欺で高額請求して、資産状況を確認できたら、別の方法でも盗りに来るはず」
この別の方法というのが、坂田さんがいう本当の恐怖の部分だ。