壊れた屋根にブルーシートを掛ける(イメージ、時事通信フォト)
直後、いつの間にか屋根に登っていた2人の男たちが「ここ、壊れてますよ!」と、庭先に戻ってきたSさん夫妻に叫んだ。さらに梯子の下にはもう1人、30代くらいの大柄な作業着姿の男が立っていて、不満げな顔をしているSさんの夫に「向こうから見えたんですよ」と、いかにも”壊れているのが見えたから教えてあげた”という態度で話しかけてきたのだ。
勝手に屋根に上がっていた男の1人は、Sさんに最初に声をかけてきた若い男だったが、梯子から降りてくると、Sさん夫妻にスマホで撮影された画像を見せながら、それが”壊れていた部分”と説明したのである。
「確かに、屋根の継ぎ目の部分がめくれているんですね、見てわかるくらい。夫も、えっ!て声をあげるくらいびっくりしてましたけど、急に部屋に戻っちゃって彼らの相手をしてくれない。作業着の男の人は、ついでだから修理して帰りましょうか、ちょうど前の現場が終わったと言って、玄関まで入ってきたんです」(Sさん)
その時、いつの間にか戻ってきたSさんの夫は「うちには馴染みの業者があるから、帰って欲しい」と告げた。業者は、どこも業者は忙しい、馴染みのところより安くできるなどと言って居座ろうとするが、間も無く業者が来る、と夫が告げたところ、業者は「すでに設置したブルーシート代1万円だけでも支払え」と、急に不良のような口調で請求してきたという。
「見ると確かにブルーシートがテープで貼ってありましたが、1万円は高いですよ。実は夫は、すぐに見知りの業者を手配したものの、明日にしか行けないといわれて、それで咄嗟にウソをついたんです。だから業者も渋々帰ってくれたというか」(Sさん)
実は一年前にもSさん宅の屋根や外壁の点検を馴染みの業者がしていたが、夫任せだったせいかSさんはすっかり忘れてしまっていた。だからこそ翌日、点検を行ったその業者はS家の屋根のブルーシートをめくって絶句したという。屋根の一部が確かにめくれているような状態だったが、業者いわく「棒のようなものを隙間にねじ込んでひっくり返した」ようになっており、自然に起きる破損ではない。まして、昨年の点検時には綺麗だった箇所で、屋根全体を葺き替えた大規模リフォームからも5年と経っていない。明らかに人為的な力が加えられている、破損箇所の近くに、真新しい傷や塗装のハゲも確認できると指摘された。
「だからたぶん、何にもないのに屋根に登って壊して、修理しましたってお金を取るのよ。業者さんも『聞いたことがる、これは通報したほうがいい』っていうから、おまわりさんにも来てもらいましたよ」(Sさん)