出典/日本産科婦人科学界「2020年ARTデータブック」

出典/日本産科婦人科学界「2020年ARTデータブック」

39才は遅いか、早いか

 いまや、当たり前になりつつある不妊治療。その一方で、「始めるタイミング」「治療内容」「やめるタイミング」については個人差が大きく、情報共有も充分に進んでいない現状がある。不妊治療とひとことで言っても、その内容は千差万別だ。

「カップルが自然な妊娠に1年間トライし、成立しなかった場合を不妊症と定義しています」(岡田さん)

 その不妊症を乗り越える具体的な方法について出産ジャーナリストの河合蘭さんが解説する。

「まず、タイミング法は、医療機関で妊娠しやすい時期を診断してもらい、それに合わせてトライするという方法。次のステップが人工授精で、妊娠しやすい状態に調整した精子を子宮に送り込みます。その次が体外受精で、これは一旦卵子を体外に取り出して受精させ、受精卵を子宮に戻すという方法です。保険適用前、体外受精の費用は1回あたり約50万円でしたが、保険適用で10万円台前後に落ち着いています」

 こうした不妊治療だけでなく、医療機関に通わずに妊娠の可能性を高める「妊活」という言葉も当たり前に使われるようになった。

「食べ物や生活習慣に気を配ることを妊活と呼ぶことが多いですが、定義はありません。タイミング法など初期ステップの不妊治療を妊活に含むケースもあります」(河合さん)

 増える不妊治療に、一般化する妊活。背景には、社会の変化に伴う女性のライフスタイルの変化がある。

「晩婚化とそれに伴う出産の後ろ倒し、いわゆる晩産化が大きく影響しています。女性の社会進出が加速し、キャリアをある程度形成してから妊娠、出産、そして育児をと考える女性が増えているのです」(岡田さん・以下同)

 日本産科婦人科学会の統計によると、不妊治療を最も多く受けているボリュームゾーンは39才の女性だが、この数字について岡田さんは、「39才というのは“遅くとも始めてほしい”タイミングです」と指摘する。

 現在、体外受精の治療が保険適用になるのは、治療開始時点の女性の年齢が43才未満の場合。ただし、42才までなら全員が同じ条件というわけではない。39才までの場合は、子供1人に対して6回まで保険適用範囲でトライできるが、40才以上の場合は半減する。

「40才以上で初めて体外受精でお子さんを持つかたは、平均して8〜9回、体外受精を行うというデータがあります。その一方で保険適用は3回まで。40才から始めると、保険適用の範囲をはみだしてしまう可能性は高い。

 一昨年、製薬会社が日本を含むアジア6か国で不妊治療に関する実態調査を行ったところ、日本では、子供を希望してから治療を経て妊娠するまでの平均期間は6.4年で、治療を受ける36才以上の患者の割合は最も高かった。実際、39〜40才から治療を始めて“もっと早く始めればよかった”と口にされるかたは少なくありません」

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