こうした事案におけるコンビニの対応はさまざま、店員の判断で即通報していい店もあれば、責任者を通さないと通報できない店もある。各社マニュアルはあるが現場判断、フランチャイズオーナーの方針次第という場合もある。いずれにせよコンビニだから警察と同様に犯罪に対処できる、しなければならないというわけでもなく、私たち一般人と同様に「市民の努め」の限りの対応となる。
「店によっては『面倒だからなるべく警察沙汰にしないように』という店もありますよ。店そのものが危険な状況ならともかく、来店者のいざこざやその後の行動まで『あやしい』とか『犯罪では』で行動するのは無理ですから。コンビニで働いた経験のある方ならわかると思いますが、本当にとんでもない人っています。そういう人に逆恨みで嫌がらせを受けることもあります」
難しい問題、そもそもコンビニは様々なサービスを提供する商店であり交番やそれに類する防犯を「職務」や「義務」として担っているわけではない。これは大前提だ。
「ぼく、アルバイトォォ!」
これについて、都内でコンビニエンスストアを経営していた元オーナーに話を聞いた。
「なんでもコンビニにやらせておけ、で治安維持までいつの間にか担うように思われている。でもコンビニ店員は警察官でも警備員でもない。セーフティステーションという駆け込みや保護の対応に協力しているが、今回の旭川みたいなケースで未然に防ぐような行動は難しいと思う」
コンビニは「セーフティステーション」と呼ばれる活動の担い手とされて久しい。元々は警察庁から「まちの安全・安心拠点としての活動を」と求められたのがきっかけで「自主的に」日本フランチャイズチェーン協会が取り組んでいる。
「24時間、年中誰かいるんだから交番の代わりをしろってこと。活動は地域の安全のためにも大事だし『市民として』の役目もわかるけど、コンビニ店員に犯罪者を捕まえろとか、駆け込んだ人の保護とか限界がある」
コンビニ各社によって対応は異なるが、基本的にセーフティステーション活動は女性・子どもの駆け込み、高齢者保護、強盗・万引き・特殊詐欺被害の防止、災害や事故、急病人への対応などに店舗および従業員は取り組むよう努めるとされる。振り込め詐欺を未然に防いで警察から表彰されるコンビニ店員もいる。