多種多様な作業に見合わない賃金と接客の難しさ、それに加えて犯罪防止やその対応まで担うことを強要、ときに非難することは少子化で売り手市場となった久しい雇用情勢、ますますコンビニで働くことが敬遠されてしまうのではないか。通報が大切なのは百も承知、しかしみな自分の命や生活も大事なことは事実だろう。24時間営業の廃止、セルフレジ導入も進む中、それを踏まえた新たな協力体制が必要になる。各コンビニチェーン本部の方針も平成までの「甘い汁を吸えた時代」から脱却できていないように思う。
また肝心の警察も人手不足、全国の採用試験受験者数はこの10年で半分以下の6割減にまで落ち込んでいる。身長や体重の制限を撤廃したり、受験の機会を年に2回、3回と増やしたりしているが効果は薄くコンビニ同様、警察官もなり手が減り続けている。
そして週刊誌報道によれば主犯の女と旭川中央署の警部補が不倫関係にあったと報じられている。なぜ犯人らがこれまでの事案も含め、旭川でここまで好き勝手できたのか――コンビニの通報問題以上の根深い闇を感じてならない。
便利で身近なコンビニとその現状、旭川のようなケースもまた、私たちがコンビニとその現場の方々の立場になって改めて考えるべき問題を浮き彫りにした。コンビニが社会のインフラとするなら、その現状と問題もまたこの国の象徴のように思う。
女子高生の死を悼むと共に、犯人らに対する厳正な対処と所轄の警察も含めた問題解決を願ってやまない。
日野百草(ひの・ひゃくそう)/日本ペンクラブ会員。出版社勤務を経て、社会問題や社会倫理のルポルタージュを手掛ける。