「振り込め詐欺とか急病人の対応ならまだしも、今回の旭川とかコンビニ店員がどれだけできると思う? 悪そうな集団だからと店として首を突っ込む、私はそこまでできない」
あくまで元オーナー個人の意見だが、先のベテラン店員もまた同様の意見だった。
「本音を言えば、時給1000円とかでそこまで担うのは勘弁です。金額じゃないと言われても、私にだってみなさん同様に人生はある。それに、本当にいろんなお客が来ますからね、やんちゃな若い男女の集団なんてそれこそ年中来る。コンビニの駐車場でたむろったり、いざこざを起こしたりはありますが、積極的には関わらないです。ましてそういう人たちがあとで大事件を起こした、それが実はそこにいた人で助けを求めていたなんて言われても、それをコンビニ店員に求められても困る。本音のところはどの店も、従業員もそうだと思いますよ。いや、非難してる人だってリアルではみなそうじゃないですか?」
古い事件だが2008年、東京都港区のコンビニに刃物を持った男がレジの金をよこせと脅したが、55歳のアルバイト店員が押し問答の末に「ぼく、アルバイトォォォ!」と叫んでカウンターの上にジャンプ、それに驚いた男が逃走するという事件があった。
先のベテラン店員もこの事件は古くネットで知っていたが「笑い話ではない」と話す。
「ネットのネタにもされていますが、幸い撃退できただけで危険です。笑い話じゃない」
また警察の対応にも疑問があるという。
「通報しても警察だってコンビニでたむろする不良集団とか、よほどの事件が起きなければなあなあで済ましているのが現実ですよ。談笑して注意しておしまい、とかね」
命がけの行動は仕事のうちに入っていない
コンビニ店員の被害は珍しくなく各地で起きている。2023年8月には東京都足立区のコンビニで男が突然暴れ出し40代女性店員と60代男性店員が刃物で切りつけられて重症を負った。また2024年2月には札幌市のコンビニで「男性店員に対応されたくない」という理由で男が40代男性店員と50代女性店員を刃物で切りつけ、40代男性店員の方が亡くなられた。同年5月にも東大阪市のコンビニで万引き犯を追いかけた30代店員が万引き犯の返り討ちで暴行を受け全治2週間の怪我を負った。