おふたりの日課だった散策は、上皇さまおひとりで行われているという(10月、東京・文京区)

おふたりの日課だった散策は、上皇さまおひとりで行われているという(10月、東京・文京区)

足元は常に「ヒール」

 上皇さまとのご成婚から65年。美智子さまは体の動かし方ひとつ取っても、国民の目にどう映るのかを強く意識されてきた。たとえば、姿勢。

「美智子さまのお召し物の背中側に、しわが入っているのを見たことがありません。それは常に姿勢を正され、椅子に腰掛けられるときも背もたれに寄りかかられないからだといわれています」(前出・皇室記者)

 意識は細部にまで及び、「脚」は最も気を配られてきたところだ。

「“皇室のフォーマル”は明治以降、伝統的に洋装で、美智子さまも徹底してこられた。足元は、脚が優雅に見えるからという理由でピンヒールを着用されることが多かった。飛行機や新幹線での移動中でも履き替えられることはありませんでした」(前出・皇室記者)

 しかし年齢を重ね、筋力が衰えていくなかで、次第にそれが難しくなる。

「徐々に低めの、そして安定感のある太めのヒールへとシフトされていきました。ご自身のお立場にふさわしい身なりと、けがの予防などご年齢に見合った装いに折り合いをつけ、その時々にふさわしいものを模索してこられたのです」(皇室ジャーナリスト)

 今年4月、美智子さまは昭憲皇太后の没後110年に際し、明治神宮を参拝された。あいにくの雨のなか、あわや転倒というよろめく瞬間もありながら、白いロングドレスの裾からのぞいた足元はヒール。美智子さまの矜持が垣間見えた場面だった。だが、いまやヒールを履くことはおろか、車椅子生活を余儀なくされ、日常生活もままならない。

「ご自身の体調をいちばんよく理解されているのもまた、美智子さまです。真摯にリハビリに取り組まれると同時に、もう車椅子を手放すのは難しいかもしれない、と思われることもあるようです。

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