しかし、近大側は反応を見せないのだという。藤巻氏が語る。
「近大では、監査室法人倫理推進課という部署が公益通報の申し立て窓口になっていますが、まともに機能していません。過去にも管理職の非違行為、ハラスメントなどが何件も通報されていますが、大学側は動こうとしない。だから今回は公益通報と同時に、組合の団体交渉でも世耕氏のXポストの件、大学の政治利用について回答するように要求しています」
藤巻氏が危機感を募らせるのは、世耕氏による大学の政治利用をめぐって組合に数々の投書が寄せられているからだ。
その内容は〈(大学に)和歌山出身が職員に多いのは、選挙の時に手伝う事が暗黙の決まり〉〈(大学職員で)和歌山出身者は一週間程度有給をとり、理事長選挙事務所に詰める〉(各投書は要約)などで、藤巻氏は「組合はこうした投書に書かれていることについて度々、大学側に実態調査を求めてきました。しかし、『把握していません』の一点張りなのです」と語る。
「世耕氏が裏金問題の渦中にいた時、私は有志とともに理事長辞任を求め、オンライン署名を募った。署名は5万筆以上集まりましたが、大学側は受け取りを拒否しました。
世耕氏に逆らえる職員は近大にいない。“殿様”扱いなのです。ある教員が『世耕さんが』と言おうとしたら、『世耕先生と呼びなさい』と管理職に訂正されたこともある」(同前)