二階支持を「電話で謝罪」
世耕氏は離党会見などで理事長職について「政治活動とは関係ない」と公言してその立場に留まってきた。
だが、実際にはどうなのか。そもそも、近大卒業式に呼んだ安倍氏の画像を出馬表明に使うこと自体、「関係ない」という言葉と矛盾している。
さらに筆者は和歌山での選挙の実態を調査した。
先の総選挙で「紀州戦争」と注目されたのが和歌山2区だ。自民党からは元幹事長・二階俊博氏の三男・伸康氏の出馬が決まっていたが、世耕氏はそこに強行出馬。“保守分裂”の末、世耕氏が約10万票を獲って圧勝した。
伸康氏に比例復活も許さない完勝を支えたのが、近大の“集票力”だった。
「今回の選挙、世耕さん出るからよろしく頼みます!」
10月中旬、和歌山2区に住む近大OBのもとには次々とこのような電話がかかってきた。
「電話をかけてきたのは校友会のメンバーです」
そう語るのは近大OBのA氏である。校友会とは近大卒業生で組織される「近畿大学校友会」のことだ。公式ホームページによると、校友会の名誉会長は世耕弘成氏、卒業生総数は58万7054人、本部は近大東大阪キャンパス内に位置する。
一族にとって近大OBが選挙で絶大な力となることは、世耕氏自身が自著『プロフェッショナル広報戦略』で明かしている。
〈伯父の選挙は近畿大学OBが母体(中略)近大OBが動かなければ選挙に勝つことはできない〉
まさに世耕一族にとって“集票マシーン”であり続けてきたことになる。