ただ一方で、ブリーダーの中にはアニマルウェルフェア(動物福祉)の精神を持っている人もいます。良いブリーダーは簡単には産ませません。この人だったら産ませた子を譲っても良いという人が現れない限り、繁殖させない人も居ます。こういう人は、子犬をオークションには流さないので、ペットショップに流通しません」
──アニマルウェルフェアを重視すると商売としてはなかなか成り立たないですね。利益至上主義の業者とは対照的です。
「このような優良ブリーダーと違い、たくさんの頭数を抱えている繁殖業者の飼養施設では、虐待(ネグレクト)が常態化しています。病気や怪我をしていても医療にかけない医療ネグレクトであったり、抱える頭数に見合う人員がいないことから適正な給餌給水がされていないなど。『A』の裁判で、繁殖施設にいる犬の写真が法廷に映し出されたのですが、本来丸くふっくらしているフレンチブルドッグがガリガリに痩せ、大きな目が落ちくぼんだ顔が非常に印象的でした。帝王切開も雑な縫い方で傷がひどかった。そして犬は基本ケージに入れっぱなしです。繁殖と出産の時だけ外に出すのでしょうが、散歩なんてまずしません」