──今年6月に、動物愛護法の改正が完全施行となりました。飼育数の制限や飼育法など動物の飼育環境に配慮されたものとなりました。
「形としては前進しています。ですが実際に頭数制限を守っているか行政が事業者の所にいって把握することは極めて困難です。埼玉の事件でも、当時テレビのニュースで見ましたが、一つの小さなケージに2頭犬が入って吠えていたじゃないですか? もうあの時点でアウトなんですよ。
頭数制限があったとしても、そしてケージ内に一定のスペースを設けてくださいと決まっていても、埼玉のケースで行政は12回立ち入り調査を実施したそうですが、口頭で指導していただけで改善に繋げることなく最終的には警察が入り逮捕に至りました。業界の問題を解決する上で、最初に介入できるのは行政ですからここで確実に改善させないと動物の苦痛が長引くし、命を落とすことに直結します」
──法改正が完全施行となり形式的には以前よりも整ったわけなので、実際に現場を所管する地方自治体の意識がもっと変わる必要があるということですね。
「はい。無麻酔で帝王切開をしていた長野県の業者『A』もそうでした。行政は14年間こういった状態が続いているのを分かっていたのに何一つ改善させられなかったんです。残念ながら、形式的な指導を繰り返しているというのが動物愛護に関わる行政の現実です」