「都知事選では石丸伸二さんを追いかけ、衆議院選挙では、日本保守党の百田(尚樹)さんを追いかけました。今回、斎藤さんを追いかけようと思ったきっかけは、高須クリニックの高須(克弥)院長の『斎藤氏を支持する』という投稿でした。そこから調べていくと、斎藤さんが大手のメディアにはめられたことが分かり、不憫 で仕方がない、と思ったからです。斎藤さんを応援したいという思いからライブ配信を始めました」
果たして収支は合うのか。
「石丸さんのときは100万円の赤字となり、百田さんのときはトントンでした。今回は、どうにか収支が合いそうです」
私が取材した限りでは、斎藤陣営が聴衆に動員をかけたり、支持者に不正なお金を支払っているという証拠は見つからなかった。すべてが自然発生的に湧き起こったものだった。
斎藤再選への反対運動も、また個人の意思によって行われた。
神戸市に住む難波文男 (42)は、選挙期間中に落選運動を行った。街宣演説に、「斎藤、どのツラ下げて立候補したのか #斎藤ひっこめ」というプラカードを手にしてスタンディングを行った。その難波はこう語る。
「誰か特定の候補者を応援しているわけではないんです。ただ、斎藤だけは当選させてはダメだということです。最初は、斎藤が私の地元で街頭演説をしていたときに、大勢の人が来ていたので、『斎藤、引っ込め!』と怒鳴ったら、支持者から罵詈雑言を吐かれました。選挙戦中盤での三宮の練り歩きのとき、プラカードを掲げたら、品のよさそうな女性に平手で頬を殴られました」
どういう理由で斎藤の再選に反対したのか。
「公益通報者保護法に違反して告発文を書いた人を探し出して処分したからです。告発された斎藤本人が、処分を下すというのは独裁政治そのもの。その一点で斎藤は知事失格だ、と思っています。元県民局長のプライベートな事柄は、公益通報者保護法とは何の関係もありません」
反対運動に資金援助があったり、背後に組合などの特定の団体はいるのか。
「お金なんて1円ももらっていません。選挙期間中、10カ所以上で落選運動をしましたが、交通費とプラカード作成代は、全部持ち出しです。組合などとも関係はありません。反対運動の仲間ですか? 本名を知っている人たちは、ほんのわずかで、一緒に飲みに行ったこともありません。演説の現場で、顔を合わせるだけの仲です」
難波は朝日新聞を読み、ネットでは毎日新聞や神戸新聞といった新聞記事から情報を収集している、と語る。