加えて、町に居住実態がないことも判明していた。新井氏が記載していた住所のアパートは水道が止まっており、家主は「貸していない」と主張。当時、議会でこれを追及すると新井氏は、「水道の代わりとしてペットボトルの水を使って、トイレはコンビニや公園のトイレを使っていた」と主張していたという。町は新井氏を公正証書原本等不実記載罪で前橋地方検察庁に告発した(のち不起訴)。現在新井氏は、町を離れている。虚偽告発の疑いを晴らすために長い裁判を続けてきた町長は、こう振り返った。
「この5年間って何だったんだろう、と私だって思っています。いきなり町長室で性交渉しましたと言われて、黙っているわけにはいかない。そう思って戦う中、町長として一番辛かったのは世間から草津町をバッシングされたことでした。
町は関係ないはずなのに『町長がレイプするような人だから町に行くとレイプされる』というようなことを言われたんです。集団レイプ地域みたいに言われましたね。冤罪を証明するため頑張ってこられたのは、町民や議会の皆さんが自分を信じてくれていたからだと思っています」
新井氏は名誉毀損と虚偽告訴の罪で在宅起訴されたが、12月18日に開かれた刑事裁判初公判では「名誉毀損は無罪です」と主張している。
◆取材・文/高橋ユキ(ノンフィクションライター)