そのなかで、自分の経験を発信していくべきなんじゃないか、という気持ちが芽生え、不妊の事実を公表することにしました。不妊と聞くと、どこか女性に原因があるように感じる人が未だにいるかもしれません。でも、僕みたいに無精子症だと、女性側には問題がないのに、すごく大変な思いをさせる場合もある。それを知ってもらいたくて……」
日々の子育ては「大変だけど楽しいです」と、柔和な笑みを見せた仁科さん。不妊治療を経て、夫婦の絆はより深いものとなり、親としての我が子との人生を歩み始めた。
(後編に続く)
取材・文/梶原薫 撮影/山口比佐夫