やっと理不尽な公立中学から離れられるということか。北風強い九段の坂でお別れしたが同席していた親御さん曰く「こんなことなら中学受験をさせておけばよかった」とも。しかし東京と違い公立高校が上位の地域が多い地方では中学受験はまだ東京ほどに広まっていない。東海地方で言うなら愛知県すら名古屋を中心とした大都市だが公立優位。成績上位者でも多くが公立中学からそれぞれの地域の上位校である旭丘や岡崎、一宮、刈谷、時習館、半田などを目指す。私立では男子校の東海や名古屋、SSKと呼ばれる女子校の金城や椙山、愛知淑徳の他、共学では滝などあるが公立優位は揺るがない。
つまり中学校は多くが学区の公立中学に上がるため原則選べない。愛知に限らず公立中学にとくに理不尽校則が跋扈する理由のひとつでもある。どうせ生徒は集まるのだから、ご機嫌をとる必要もない。しかし公立中学も同情すべき点はあり貧富さまざま、学力も偏差値70から40(あくまで出来不出来による一般論としての偏差値)まで同じ教室で3年間指導しなければならない。筆者も多少の経験はあるが、まさにカオスである。
これについていまだに理不尽な校則の存在する中学(北関東)のベテラン教師はこう語る。この学校も冬でも白いソックスのみだ。
「そうは言いますが、以前に比べれば理不尽な校則は減りましたよ。昭和の時代は旧軍人とか前時代的な価値観の校長や教育委員会の方々が現役だったわけで、生徒の左翼運動に対する警戒感もあった時代でした。それこそタイツなんぞ履かずに『寒くても我慢しろ』ですね。おっしゃる通り公立中学、とくに地方の公立中学はそこに地域のほぼ全員が行かざるを得ない事情がありますから、ずっと変わらないままというのはあるでしょうね。地域の親すら『俺の時代はもっと厳しかった』で理不尽な校則を肯定していますから」
しかし男子はズボンなのでその下になにか履くなりで防寒することができる。なぜ女子だけ「生足」なのか。
「おそらく理由はもうわからないのでしょう。ずっとそうだからそのまま」
偏差値が40あたりの高校は管理しないと崩壊する
先に言及してように都内の伝統校では黒タイツが正装という学校もある。自由な校風の都立ではスカートにジャージでも構わない高校だってある。東北地方の一部地域では寒さ対策なら何を履いても構わないし、華美かどうかは現場の判断で指導するが、前提として女子生徒を寒さから守る、がある。これらの学校が誤りという認識なのか。
「いえ『よそはよそ、うちはうち』でしかないんだと思います。うちの地域では中学だけでなく公立高校も厳しいところは多いです。ある商業高校は肌色のストッキングはOKだけど黒はダメ、とかね。逆に80デニールの黒タイツならOKな高校もある。まあ本当に『よそはよそ、うちはうち』ですね」(前出のベテラン教師)