ライフ

【逆説の日本史】「尼港事件」と「日枝“法皇”によるフジテレビ支配」との因果関係

作家の井沢元彦氏による『逆説の日本史』

作家の井沢元彦氏による『逆説の日本史』

 ウソと誤解に満ちた「通説」を正す、作家の井沢元彦氏による週刊ポスト連載『逆説の日本史』をお届けする(第1448回)。

 * * *
 前回、それまで大正時代の尼港事件を扱っていたはずなのに、「突然」現代の「フジテレビ問題」に「飛んだ」という印象を持った人はいないだろうか? この『逆説の日本史』では以前にも現代の時事問題を扱ったことは何度かあるが、それはすべてそのときに分析していた過去の事象に関連があったからだ。

 何度も言うが、「歴史はつながっている」。この「つながり」こそが歴史の本質である。にもかかわらず学校の歴史授業でそれがわからないのは、その教育をプランニングしたのが各時代の狭い分野の専門家に過ぎない歴史学者だからである。

 そして逆に言えば、「歴史はつながり」であるということをじつに明確に示してくれるのが、いままさに取り扱っている題材なのである。

 具体的に箇条書きにしてみよう。

1. 現代の日本人は、なぜ「尼港事件」のことをよく知らないのか?
2. なぜ、フジサンケイグループの日枝久代表は、あれだけ強固な地位を築けたのか?

 この二つの疑問には、因果関係つまり「原因」と「結果」の関係があると言ったら、あなたは驚くだろうか。それとも、なんとなく理解できるだろうか。ヒントになる歴史的事実は、すでに何度も述べている。

 日本の教育も報道も、昔から「歪みっぱなし」であった。いわゆる戦前は、日本の軍国主義的行動を教育も報道もサポートしていた。では戦後はどうかと言えば、平和推進と言えば聞こえはよいが、とくに共産圏を「平和勢力」として実態を覆い隠すことが教育や報道によって行なわれていた。方向性は違うとは言え、どちらも歪んでいることには変わりない。

 わかりやすい事例が『朝日新聞』だろう。戦前の朝日は、日本の満洲国建国に最大の貢献をした報道機関であった。ところが、戦後は手のひらを返すようにソビエト社会主義共和国連邦、中華人民共和国、朝鮮民主主義人民共和国など、実際は共産党の一党独裁で多くの人民を苦しめていた(いまも苦しめている)国家を「地上の楽園」や「労働者の天国」のように報道し、日本人の冷静な判断を常に狂わせていた。典型的なのは、北朝鮮による日本人拉致に関する報道であろう。

 いま、北朝鮮がかつて日本人を拉致していたということを否定する日本人は一人もいないはずである。なぜなら、それが事実だと北朝鮮の金正日国防委員長(当時)が認めたからだが、それ以前の日本はどういう状態だったか? 若い人にはぜひ知っておいて欲しいのだが、簡単に言えば「北朝鮮は拉致をしているに違いない」と言えば、「オマエは右翼でデタラメを言って北朝鮮を貶めようとしている!」と非難されたのだ。

 私は当時記者として報道機関のなかにいたから、当時の「空気」を実感している。いや、たとえ報道機関の内部にいなくても、現在四十歳以上の人間なら覚えているはずである。

関連記事

トピックス

これまで以上にすぐ球場を出るようになったという大谷翔平(写真/AFLO)
大谷翔平、“パパになる準備”は抜かりなし 産休制度を活用し真美子夫人の出産に立ち会いへ セレブ産院の育児講習会でおむつ替えや沐浴を猛特訓か
女性セブン
綱取りに期待が集まる大の里(写真/JMPA)
大の里に“上げ底”で横綱昇進プラン 八角理事長は「12勝は大きい」と手放しで絶賛、「2場所連続優勝に準ずる成績」の解釈はどんどん拡大
週刊ポスト
岡田結実
《女優・岡田結実(24)結婚発表》結婚相手は高身長の一般男性 変装なしの“ペアルックデート”で見せていた笑顔
NEWSポストセブン
ネズミ混入トラブルを受けて24時間営業を取りやめに
《ゴキブリ・ネズミ問題で休業中》「すき家」24時間営業取りやめ 現役クルーが証言していた「こんなに汚かったのか」驚きの声
NEWSポストセブン
ウッチャンナンチャンがMCを務める番組『チャンハウス』
【スクープ】フジテレビがウンナン&出川MCのバラエティー番組で小学生発言を“ねつ造演出”疑惑 フジは「発言意図を誤解して編集」と説明、謝罪 
女性セブン
同区在住で農業を営む古橋昭彦容疑者は現行犯逮捕された
《浜松高齢ドライバー事故》「昭坊はエースピッチャーで自治会長をやっていた」小学生の列に突っ込んだ古橋昭彦容疑者(78)の人柄【小学2年生の女児が死亡】
NEWSポストセブン
くら寿司
《ピンク色の破れたゴムを…》「くら寿司」が迷惑行為に声明「厳正な対応を行う予定」実行者は謝罪連絡入れるも…吐露していた“後悔の言葉”
NEWSポストセブン
中学時代の江口容疑者と、現場となった自宅
「ガチ恋だったのかな」女子高生死体遺棄の江口真先容疑者(21) 知人が語る“陰キャだった少年時代”「昔からゲーマー。国民的アニメのカードゲームにハマってた」【愛知・一宮市】
NEWSポストセブン
すき家がネズミ混入を認め全店閉店へ(左・時事通信フォト、右・HPより 写真は当該の店舗ではありません)
【こんなに汚かったのか…】全店閉店中の「すき家」現役クルーが証言「ネズミ混入で売上4割減」 各店舗に“緊急告知”した内容
NEWSポストセブン
中居の女性トラブルで窮地に追いやられているフジテレビ(右・時事通信フォト)
X子さんフジ退社後に「ひと段落ついた感じかな」…調査報告書から見えた中居正広氏の態度《見舞金の贈与税を心配、メッセージを「見たら削除して」と要請》
NEWSポストセブン
ロコ・ソラーレが関東で初めてファンミーティングを開催(Instagramより)
《新メンバーの名前なし》ロコ・ソラーレ4人、初の関東ファンミーティング開催に自身も参加する代表理事・本橋麻里の「思惑」 チケットは5分で完売
NEWSポストセブン
中居氏による性暴力でフジテレビの企業体質も問われることになった(右・時事通信)
《先輩女性アナ・F氏に同情の声》「名誉回復してあげないと可哀想ではない?」アナウンス室部長として奔走“一管理職の職責を超える”心労も
NEWSポストセブン
中居の女性トラブルで窮地に追いやられているフジテレビ(右・時事通信フォト)
「スイートルームの会」は“業務” 中居正広氏の性暴力を「プライベートの問題」としたフジ幹部を一蹴した“判断基準”とは《ポイントは経費精算、権力格差、A氏の発言…他》
NEWSポストセブン