認めたくはないが、俗にいう他力本願というか、どこか他人事だったのだ。オレが1票を投じなくても、誰かが入れるだろうって。
振り返ってみれば、家族もそんな感じだったし、少年たちもみな同じだったのだろう。恐らくその家族も。
ある意味、“逆「合成の誤謬」”とでもいうべき現象だ。これでは竜戦士をオールスターにファン投票で送り込むなんて夢のまた夢。
阪神ファンって、こういうの、ちゃんとやっていたんだろうな。やってそうだよな。なんていうか、コアなトラファンって、ちょっと暑苦しいもん。
まあ、でも1票の力を行使しないくせに文句を言うんじゃないってのは一理ある。
まさに現代の民主主義制度が抱える欠陥を体現しているとは。ドラゴンズはこんな反省もファンに与えてくれる。
民意が常に正しいわけじゃない
ただし、1票の力を行使したからといって本当に何かが変わるのかっていう、別の問題もあるだろう。
こっちはむしろ絶望的な話だ。ウィンストン・チャーチルの「民主主義はワーストじゃない」って発言は既述したが、選挙も完全じゃない。むしろ魔訶不可思議な人気投票だ。投票結果も、民意も常に正しいわけじゃない。それどころかかなり怪しい。
候補者の政策をきっちり理解して投票に向かう有権者がどれくらいいるのか。考えたら選挙はフィクションになってしまう。
それは民主主義の先進国、フランスでの大統領選が男子普通選挙制度のもとで実施されたときから変わっていないという。ナポレオンの甥という特徴を最大限に生かしたルイ・ナポレオンが話題性だけで当選してしまったからだ。つまり、大衆社会はずっと進化していないってことだ。