解決策はただ一つ。高木守道がオールスターのファン投票で選ばれないのは、投票する側に高木を評価する力がないってことだと思えばよいのだ。
学ぶべきは、選挙で当選した人が素晴らしいわけでもなければ、正しいわけでもないことを知る、いわゆるリテラシーだ。
ピンと来た読者は、神奈川大学の的場昭弘名誉教授の本を読み、“高木問題”をさらに一歩深く考えることをお勧めするが、リテラシーという意味では、メディアの報道も要注意だ。かなりいい加減な面もあるからね。
在京の人気球団と1000万部を誇る(もう違うけど)全国紙がタッグを組むプロ野球界ならば当然のことだ。でも、そんなこと、常に傍流の水をすすり続けてきたドラファンにとって「いまさら」な話だ。
リテラシーなら、とっくの昔にドラゴンズが教えてくれているんだから。
(第7回に続く)
※『人生で残酷なことはドラゴンズに教えられた』より一部抜粋
【プロフィール】
富坂聰(とみさか・さとし)/1964年、愛知県生まれ。拓殖大学海外事情研究所教授、ジャーナリスト。北京大学中文系中退。1994年、『龍の伝人たち』で21世紀国際ノンフィクション大賞・優秀賞を受賞。『中国の地下経済』『中国の論点』『トランプVS習近平』など、中国問題に関する著作多数。物心ついた頃から家族の影響で中日ファンに。還暦を迎え、ドラゴンズに眠る“いじられキャラ”としての潜在的ポテンシャルを伝えるという使命に目覚めた。