2024年秋の総選挙は、明らかに波乱の予兆に満ちていた。自民党に大きな逆風が吹いていたからだ。これは、来ているかもしれない。
いいぞ、頑張れ、石破茂。もっと頑張って支持率を下げろ。政権交代までこぎつけて、ドラゴンズ優勝のお膳立てをしてくれ。どうせ日本の政治なんて、誰がやったって同じなんだ。心置きなくやってくれ。中日も、長い長いトンネルの中にいて、そろそろ光を浴びたい。石破政権の最初にして最後の大仕事だ。
中日優勝に深い溜め息が……
もっとも、全国的に見れば中日の優勝が喜ばれないことは知っている。いろんな意味で。とくに商業的な意味で。石破がいくら頑張っても、経済対策にはならない。
かつて私が『週刊文春』の記者だった時代、同じフロアにスポーツグラフィック誌『Number』の編集部があった。廊下を隔てたその編集部から、どよめきとも深いため息ともとれる音が漏れてきたのは1999年の秋だった。
日本シリーズの対戦カードが中日対ダイエーに決まった瞬間だ。
私はすでに去った後のことだが、2004年の日本シリーズが中日対西武になったときも、同じような絶望のため息が広がったという。要するに、雑誌が売れないのだ。阪神の優勝とか日本シリーズ進出なら、間違いなく売れる。巨人の優勝より売れるそうだ。
ヤクルトの場合は、普段、巨人ファンを少し冷めた目で見ている都会人がわっと沸いてきて、フジテレビも大騒ぎして盛り上がるから、それなりだ。横浜DeNAは、グレーター東京の枠内だし、フジテレビほどではないとはいえTBSもはしゃぎだす。「ハマ」という響きに何かをくすぐられる田舎者は少なくないらしく、やはりそれなりに盛り上がる。
そして、広島。広島は地元の熱い声援に加えて、なぜか全国的にもちょっと温かい眼差しが向けられているようで、これも悪くない。
翻って中日は……。
敗因は、あれだ。選挙でいうところの「浮動票」が中日には流れてこないことだ。
だが、そんなものは当てにしていないんだよ、ドラファンは。浮動票という名の「にわか」なんて、期待してない。