何が嫌いかって、阪神が優勝したときにわっと湧いてくる「にわか」だ。あれほど嫌なものはない。とりわけ東京の「にわか阪神ファン」だ。サッカーの試合を観ながら「2列目の飛び出しがー」とか叫ぶヤツくらい嫌いだ。阪神の「にわか」が、ときどき巨人ファンになるのをこれまで何度も見てきた。いや、うっかりするとオリックスの優勝とかにも飛びついてくる。賑わっているものに吸い寄せられてくるからタチが悪い。
ただし……、なんにでも飛びつく「にわか」たちでさえ、なぜか中日の優勝には乗っかってこない。誰か、その理由を教えてくれ。みんな、わざとやっているのか?
(第10回に続く)
※『人生で残酷なことはドラゴンズに教えられた』より一部抜粋・再構成
【プロフィール】
富坂聰(とみさか・さとし)/1964年、愛知県生まれ。拓殖大学海外事情研究所教授、ジャーナリスト。北京大学中文系中退。1994年、『龍の伝人たち』で21世紀国際ノンフィクション大賞・優秀賞を受賞。『中国の地下経済』『中国の論点』『トランプVS習近平』など、中国問題に関する著作多数。物心ついた頃から家族の影響で中日ファンに。還暦を迎え、ドラゴンズに眠る“いじられキャラ”としての潜在的ポテンシャルを伝えるという使命に目覚めた。