「大物ルーキーを育てられない」の烙印

 数年間、めちゃめちゃ輝いて消えていった選手で、忘れられないのが森田幸一投手の1991年の活躍と、中里篤史投手だ。

 森田はとにかく1年間、輝きまくった。誰もが中日の先発の太い柱として何年もチームを支えると期待していた。

 一方の中里は「凄い速球を投げるヤツがいる」と球界の話題をさらった選手だ。

 いまでもコアな野球ファンの間で「プロ野球史上最強のストレートは誰だ」という話題になると、巨人の怪物・江川卓投手、阪神の「最速1000奪三振男」の藤川球児投手(現監督)と並んで必ず名前が挙がる投手だ。

 だが、中里はケガに泣いた。プロ在籍は2001年から2011年までだが、一軍のマウンドに立ったのは、わずか34試合。故障と復活の繰り返しだった。2009年に中日を戦力外通告され、翌年から巨人に移籍し、最後の2シーズンを過ごした。

 中里のケースは「酷使された」というのとは違うかもしれないが、「投手が短命」というドラゴンズの特徴のなかでは触れておかなければならない選手だろう。

 それにしてもなんか腑に落ちないのは、中里の記録が「ジャイアンツの選手」として残っていることだ。中里が活躍した時代は、私が週刊誌の仕事に忙殺されていた時期と重なる。野球はたいてい出先から携帯電話の文字情報で追いかけるしかなく、帰宅して時間があれば、その結果をニュース番組で確認していた。

 だから中里の剛速球を球場やテレビ観戦で見たことはない。これが本当に心残りだ。

 中里は速球派投手としてケガに泣いたが、大きな期待を背負って入団した逸材だ。

「ドラゴンズって大物ルーキー育てるの、ヘタじゃね?」

 これはドラファンたちがずっと胸の中に抱えてきたモヤモヤだが、この疑惑は思わぬ形で全国区の“定説”になってしまう。きっかけは超大型ルーキー・根尾昂の入団だ。

 大阪桐蔭高校で甲子園を沸かせた根尾は、高校通算32本塁打、投げても最速150キロというマルチな才能に恵まれた選手だった。スキーも上級者で頭もいい。2018年のドラフトでは4球団が1位で指名し、競合の末に中日が交渉権を獲得した。岐阜出身の根尾は中日ファンだったこともあり、相思相愛の完璧なドラフトと話題を呼んだ。

 だが、喜びもつかの間。ドラファンたちがざわつき始める。“ちゃんと、育てられるのか?”と。

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