ミャンマー・マンダレーのスカイ・ヴィラ・コンドミニアムの倒壊した瓦礫の中から生存者の捜索を行っている救助隊。3月29日(AFP=時事)
さらに、詐欺に加担している日本人だけではなく、詐欺集団に帯同するように東南アジア各国を移動している日本人女性集団がいることにも言及する。
「リゾートバイトなどの名目で、日本人女性が海外で娼婦として働いている。実際に、そういう女性が多すぎると、日本人女性は一人だと入国の際に、渡航目的や滞在日数、宿泊先などをかなり厳しく確認されるようになった。それでも海外で仕事をという女性が少なくないので、さまざまな名目で東南アジアに呼び寄せられ、詐欺集団幹部のために働かされたり、強制労働をさせられている。アンダーグラウンドな環境なので衛生管理もよくないようで、病気になる女性もいるし、そのまま行方不明になったりするなど、あまりにも闇が深い。そういう仕事に出かけた女性たちは家族や友人に自分の仕事について一切、話さずに日本を出てしまうので、詐欺集団に監禁されているとすら思われていない。探す人がいないと被害者にもカウントされないから、いったい、全体で何人くらいになるのか見当もつかないわけです。現地の闇風俗店のSNSには、日本人らしき女性の情報が毎日のように紹介されています」(東南アジア在住の男性)
ちなみに、先日ミャンマーで発生し、タイなど東南アジア地域に大きな影響を及ぼしている大地震の影響はどうなのか。現地で取材を続ける民放キー局スタッフが説明する。
「詐欺拠点、といわれていた場所の中にも、大きな被害が出たという情報は入ってきていますが、現地当局も被害の全容を把握できておらず、詳しいことは不明です。ただ、地震の影響が少ないエリアもあり、詐欺集団はすでに震源のミャンマーから移動してこれまで通り詐欺を続けている、という話もある。彼らは、息をするように詐欺をしていないと生活していけない訳ですからね」(民放キー局スタッフ)
遠い海外で起きている詐欺事件、と考えたら大間違いだ。日本全国、どんな地方にもインバウンド観光客が現れ「グローバル化」を肌で感じている日本国民だが、犯罪もまた大いにグローバル化している。日本にいるから安心、自宅にいるから安心だと思っていても、海外の犯罪組織はやすやすと日本人を手玉に取り、騙し、拉致して暴力を振るい、犯罪を強要する。とにかく、このような事案に巻き込まれそうになったら、まずは警察に助けを求めることが肝要である。家族や知人に危害を加えると脅されても、日本国内にいる限りはまだ、日本当局の力の方が強い。脅迫に屈したら最後、あなた自身が誘拐され、二度と戻ってこられなる可能性も高いのだ。