チームの成績が低迷してもドアラのパフォーマンスには球場が沸く(時事通信フォト)
『知恵蔵』の「ドアラ」の解説(葛西奈津子 フリーランスライター/2011年)には、〈『キモい』キャラクターとして人気が高まった〉と説明されている。チョイ悪のおちょけっぷりもウケているという。
年俸は「食パン」。そして身長は、「『アジアの頂点』センチメートル」ってプロフィール。この感じ、出たよ出たよ。めっちゃ中京ファーストっぽいがや。
スターが出てこないと悪口を言われ、ドラゴンズがBクラスに低迷し続ける時代には、ドアラこそが一筋の光明であり続けているのだから、ドラファンがドアラを偏愛するのは当然だ。
ドラゴンズを応援するレプリカユニフォームを買うときも、ドアラほど最強で普遍的価値を発揮するものはない。私の娘は、ずっと森野将彦選手のユニフォームを着ていたが、森野が引退してしまってからは、ドアラを着ている。
たぶん、東京の友達に「野球を観に行ったよー」と話して写真を見せたとき、「これ、誰のユニフォーム?」「森野だよ」と答えて盛り上がる確率は極めて低い。しかし、それが「ドアラだよー」だと、「知ってるー、可愛いよねー」となる可能性はぐっと高まるからだろう。
ドラファンにとって、ドアラが「救い」と感じた場面はまあまああった。とくに負け試合の途中のファンサービスで、ドアラが相手チームのファンからも声援を浴びていると、嬉しくなる。そして関東在住の「竜党」には、他チームのファンや、野球に興味がない相手でも話が通じる、数少ない話題だ。
そんな不遇の時代に、関東のドラファンが集まってよく口にした夢がある。偉大な漫画家、鳥山明先生とドラゴンズのコラボだ。鳥山先生が、かなり熱狂的なドラファンだったのは有名な話だ(確認したことはないけど)。
どんな形でもいい、ドラゴンボールやDrスランプ、ドラクエなどなど、キラッキラのキャラクターたちがドラゴンズの選手たちと絡んでくれたら、そりゃ無上の喜びだ。球場であのキャラクターたちが躍動する姿、見たかった。ドラゴンズ人気はたちまち日本プロ野球の枠を飛び出して、ワールドワイドな広がりを見せたことだろう。
そもそも野球ファンという枠はとっくにはみ出してるんだから。