宏斗が安心してメジャー挑戦できるように
夢は、まあいい……目の前の現実と、将来の話だ。
日本円の価値の下落が止まず過去に買ったブランド物を質屋に持ち込む人々のニュースが目立つ現実、日本車が圧倒的には売れなくなってきた現実、景気が良いなんて感覚がないのに株高だけが進んでいる不思議な現実、そしてライデル・マルティネスが札束で巨人に持っていかれてしまったという残酷な現実も、すべて認めて前に進むしかない。
そのためには自己認識と自己分析だ。いったいドラゴンズには何が足りないのか。
すべての答えではないが、一つ思い当たることがある。話題性のバロメーターであるストーブリーグだ。
ここ数年、ドラゴンズはドラフトにおいて圧倒的な光を放ってきた。この光は少なからず野球ファンの枠を超えて世を照らした。つまり、目立った。
だが、これはあくまで「くじ運」だけの問題であって、サステナビリティがない。
では、何が足りないのか。思い当たるのは、中日出身のメジャーリーガーの不足だ。
メジャー行きが話題の選手が1人いれば、シーズン後もずっとメディアは追いかける。そして国際試合での活躍だ。この点において中日ドラゴンズは圧倒的に存在感がない。
中日からメジャーに行った選手は?
そう問われて、誰か思い浮かぶだろうか。2008年の福留孝介選手、2009年の川上憲伸投手以降、誰もいない。あ、2012年のチェン・ウェイン投手がいたか。
そう書いたところで、小笠原慎之介投手のワシントン・ナショナルズ入りのニュースが飛び込んできた。
でも、この扱いの小ささは何だろう。ロッテからドジャース入りした佐々木朗希投手はあれほど騒がれたのに。佐々木は日本プロ野球で29勝だけど、小笠原は46勝だよ。東海大相模高時代は甲子園の優勝投手で、しかもその決勝戦で決勝ホームランも打っているのに。まぁ、令和の怪物にして完全試合男と比べたら仕方ないのか……。
これも「スター不在」と同義語だが、畢竟、国際試合にも呼ばれず、それを通じて少年ファンやにわかファンを引き付けることもなく、ひいては球団の知名度を引き上げる機会もないという悪循環だ。