『日の丸~寺山修司40年目の挑発~』より。佐井は寺山修司の演出を再現した
実相寺もドラマ、音楽番組、ドキュメンタリーと多岐にわたるジャンルを手掛けているが、佐井もドラマだけではなく、『方舟にのって~イエスの方舟45年目の真実~』(2023)、『日の丸~寺山修司40年目の挑発~』(2022)などのドキュメンタリーを監督している。
「小津安二郎の『豆腐屋は豆腐しか作れない』という言葉がありますが、僕は逆に、いろんな表現をやることで豊かになれると思っています。たとえば大根仁さんも、音楽番組やコントなど多彩な経験を経て、今の地位にたどり着いています。様々なジャンルの中で模索すること、そこで自分の感性を研ぎ澄ましていくことは、自然なことだと思っています」
佐井自身、そもそもドキュメンタリー自体には最初あまり興味がなかった。しかし、寺山修司が構成を手がけたドキュメンタリー番組『日の丸』(1967)がきっかけとなった。「日の丸の赤は何を意味していますか?」「あなたに外国人の友達はいますか?」「もし戦争になったらその人と戦えますか?」といった、人々が普段考えないような本質に迫る挑発的な質問を、矢継ぎ早にインタビューする様子が放送され、放送直後から抗議が殺到した伝説の番組だ。