『方舟にのって~イエスの方舟45年目の真実~』より。「カルト教団」として大バッシングを受けた謎の集団に迫った
佐井はその質問の手法を現代に蘇らせる企画を立ち上げ、『日の丸~寺山修司40年目の挑発~』に結実した。ドキュメンタリーの制作を通じて、ドラマとドキュメンタリーとでは視聴者が求めるものが違うのだと実感した。
「『方舟にのって』を作った時にも、ドラマ部の先輩からは『ラストがダメだ』って言われたんですよね。というのは、ドキュメンタリーでは“インフォメーション”が求められてしまうんです。何か新事実が分かるとか、自分が知りたかった真相が明かされるといった展開を、鑑賞者はドキュメンタリーに対して無意識的に求めている。
でも、本当のドキュメンタリーの面白さというのは、取材する人間と取材対象との関係性の緊張感とか、そこに対する取材対象の揺らぎとかだと思うんです。インフォメーションで終わらないということが、取材対象にとっても、見てくれる人にとっても、自分自身にとっても誠実な態度だと僕は思っています」