外国にいると、日本の良さも悪さもよく見えてくるだろう。
「日本はとにかく清潔で便利。それにくらべてニューヨークは街があまり綺麗ではありません。とくに公共のトイレは本当に汚くて、トイレ掃除が好きな私にはちょっと抵抗があって最初は入れないくらいでした。
日本にくらべて米国の良いところは、周りに気を遣わなくてもいいところ。赤ちゃんが泣いても、地下鉄で歌う人や踊る人がいても、ニューヨーカーは気にしません。人に気を遣いすぎず自分らしくいられる、その自由さも魅力のひとつかなと思います。他にもたくさんニューヨークの魅力はあるので、まだしばらくはここで暮らして、いろんなことを勉強しながらミュージシャンとして、人として、母として、成長したいと思います」
40歳を過ぎて、さらに“べっぴんさん”の母親になっていた植村さんだった。
(了。第1回から読む)
取材・文/中野裕子(ジャーナリスト) 撮影/小林忠春