芸人・小堀敏夫は言う。「たった1時間の番組で、俺のことを撮りきれるわけがない」──撮りきれていないのなら、3度目の『ザ・ノンフィクション』出演に期待をしたい。しかし、その後のパートナー探し、滞納した結婚相談所の会費、坊主頭で出家した寺院からの逃亡など、その後は行方がわからぬまま……。
小堀が落語の世界に入門したのは1992年。三遊亭圓丈(三代目)に弟子入りして、華々しいスタートを切ったはずだった。あれから33年──クズ芸人と揶揄されるようになった男の生き様はドキュメンタリーにまでなった。
番組視聴者から寄せられた声のように、実は小堀のクズ人生が世の中の多くの人に、勇気と元気を与えているのかも知れない。【全3回の第3回。第1回を読む】
──『ザ・ノンフィクション』で、滞納していた結婚相談所の会費の金策として、魔法使い太郎ちゃん(小堀さんの一番弟子)が浜松市で店長を務める焼肉店でバイトをすることに。意外なほどの軽快な働きぶりでしたが、あのようにバイトをしながら芸人や婚活を続けるという選択肢はないのでしょうか。
「放送では一生懸命働いているように見えたかも知れないけど、あれっていいところだけつまんでるんですよ。あの日、6時間ぐらい働いたんだけど、後半は俺ブチ切れてるから。『てめえ、なんでこんなに忙しいんだよ。いい加減にしろ!』って。途中から仕事をボイコットして、奥の部屋でタバコ吸ってた。バイト代をもらうときも、放送では『ありがとな』なんて素直に受け取ってるけど、実際は『1万円ってなんだよ。5万出せ』とかゴネたりね(笑)」