さあ、あなたはいくつ当てはまっただろうか。
「このチェックシート、1つでも当てはまったら、筋機能が低下しているということを意味します。加齢により筋機能が衰えてしまうことを加齢性筋肉減弱症(サルコペニア)といい、その原因は運動不足。現在60〜70代の5〜13%、80代の11〜50%がサルコペニアだと言われています。“動か”ないと“動け”なくなり、そのまま放置していると、寝たきりにつながりますし、そうならないまでも生活習慣病や認知症リスクが高まります」
中村さんは大学で教え、研究をする傍ら、理学療法士として病気やケガで体を動かしにくくなった人、高齢者への運動指導をしている。リハビリの現場で気づいたことは、筋トレや運動に苦手意識を持つ人が多いこと。
「筋機能が落ちて転倒・骨折し松葉杖生活になった方々に、“5分程度の運動をしてください”とアドバイスしたところ、“5分は無理”という人が圧倒的に多いのです。ある方が冗談で、“1回3秒ならやってもいいよ”とおっしゃり、“それならば”と1回3秒でできる独自の筋トレを考案しました」
たった3秒で本当に効果があるか気になるところだ。
「まずは若者対象に3秒筋トレを取り組んでもらいましたが、筋力がアップして、筋機能も高まることが証明されたのです。これをまとめた論文は、米国の新聞『ニューヨーク・タイムズ』紙にも取り上げられました」
1回3秒の運動を、1日10回やれば30秒だが、1週間なら210秒(3.5分)になる。1か月なら900秒(15分)、1年間なら1万920秒(182分)だ。まさに継続は力なり。
海外からも注目された、3秒筋トレのやり方とメリットを解説したのが、『たった3秒筋トレ 世界最短時間で10歳若返る』(講談社)だ。ここでは40代以上の読者のために、「これだけやっておけばいい」という3秒筋トレを2つ紹介する。自宅でできるもの、職場や外出先でできるものを選んでもらった。
「ゆっくり行い、筋肉が引き伸ばされる“エキセントリック運動”なので、短時間でも効果絶大。ポイントは息を止めないこと。鼻から大きく吸って、口で細く吐きながら行ってください。息を止めると血圧が上がるリスクがあります」
効果を得つつ安全に行うため、ここでは“3秒以上”の所要時間で解説しているが、以下の動作を“1回3秒”をこまめに続けるだけで、効果は得られる。