何もしないと体は衰えていく。中村さんは20〜90代の方の運動指導を行ってきたが、40代あたりから、動ける人と動けない人の差が目立ち始め、50代半ばから一気に差が開いていくという。
「筋機能は運動能力の元となるものであり、これを維持することで、仕事や日常生活、趣味や社交を一生楽しむことにもつながっていきます。運動量が減ると、次第に食事量も少なくなり、内臓機能の低下にもつながりかもしれません。また、入眠しにくくなり眠りも浅くなる傾向がありそうです。筋機能が低下すると、外出機会も減り、外界からの刺激も少なくなり認知機能の低下にもつながりかねません」
この3秒筋トレは、生活に取り入れて習慣化したい。年齢を重ねても筋機能を維持することは、人生を充実させることにもつながっていく。さらに筋肉を鍛えれば、見た目も若くなる。「もうひと花、咲かせたい」と思う人こそ、ぜひ取り組んでみよう。
取材・文/前川亜紀
【プロフィール】なかむらまさとし
1987年、長崎県生まれ。西九州大学リハビリテーション学部 准教授/理学療法士。長崎大学医学部卒業、京都大学大学院 医学研究科博士課程修了後、同志社大学スポーツ健康科学部助教、新潟医療福祉大学リハビリテーション学部講師を経て、2022年より現職。新潟医療福祉大学時に行った「3秒筋トレ」の効果についての国際論文を2022年に発表。「ニューヨーク・タイムズ」紙で取り上げられて話題になるほか、「ガッテン!」(NHK)、「羽鳥慎一 モーニングショー」(テレビ朝日)ほか、多くのメディアで取り上げられる。ストレッチに関する論文数は世界ランキング1位(2023年)。その傍ら、理学療法士としてリハビリなども行っている。