犯行当時の心境が記されている
「シャバに出る気はないです」
こうした姿勢は判決でも「被告人に相当不利益な内容を含め、本件について詳細に供述している。また、本件の被害の深刻さを被告人なりに理解しようと努め、本件を悔い、反省の弁を述べてもいる」と一定は評価されていた。被告人質問終盤で永田被告は、やはり時折泣きながら、こう語った。
「被害者に一生謝罪し続けます。加害者にできることは何もない、でも謝罪して楽になる人がいるなら、信じて謝罪するしかない。遺族に謝罪文を出す行為自体ができないので、まず代理人に手紙を出して、そこから始めていこうと思っています。
また、先ほど篤志面接の方の話をしましたが、自分のような加害者を出さないように、SNSで集められたこんな若者をなくそうという、そういった行ないがしたいです。
社会には出ません。償いなのか、自己満かもしれないですが、僕はもう、とんでもないことをして、幸せな未来を奪った。そんな僕が社会に出ていいのか。刑罰を受けるために刑務所に一生いたほうがいい。シャバに出る気はないです」
永田被告は一審判決後に控訴を申立ているが、これは本人曰く「今言うのも正しいかわからないですが、直接謝ってほしいと言われたとき、面会しやすい距離にしようと思っています」という理由からだという。
「控訴は移送のためだけです。刑に不服はありません。まだ出てないですけど。どんな刑が下されても、全く不服はありません。今後控訴するにあたり、そう受け止めてほしいという思いで、この話をしました」
現在、永田被告は法廷での言葉通り、SNSで「闇バイト」を検索する自分のような若者を減らしたいとして、筆者のXにて手記を公開する活動を行なっている。2月28日発売の『週刊ポスト』に宛てた手記においても同様に、若者らに向けた言葉があった。
〈最後に必ず苦しみます〉
◆取材・文/高橋ユキ(ノンフィクションライター)
【プロフィール】高橋ユキ(たかはし・ゆき)/1974年、福岡県生まれ。ノンフィクションライター。2005年、女性4人の傍聴集団「霞っ子クラブ」を結成しブログを開設。以後、フリーライターに。主に刑事裁判を傍聴し、さまざまな媒体に記事を執筆している。『つけびの村 山口連続殺人放火事件を追う』(小学館文庫)、『木嶋佳苗 危険な愛の奥義』(徳間書店)、『逃げるが勝ち 脱走犯たちの告白』(小学館新書)など、事件取材や傍聴取材を元にした著作がある。