背番号「7」の中日・宇野勝選手(産経新聞社)
姉が評価したのは、背番号とローマ字の「バランスの良さ」だった。アルファベットで3文字「U N O」と並んだ下に大きな「7」の番号が組み合わされたバランスだ。
田尾安志選手の「T A O」+「2」は、“もっと素晴らしいデキ”らしい。
私もこの変な価値観に染まったのか、2010年代の後半、久しぶりに「A B E」+「5」の登場に激しくときめいた。阿部寿樹選手だ。内野手なのに長打力があって、宇野にもかぶった。それなのに2022年に涌井秀章投手との交換トレードで東北楽天ゴールデンイーグルスに行ってしまった。
そして、日本中が羨んだドラフトで獲得した根尾昂選手も「N E O」+「7」だから、間違いなくこの系譜のど真ん中だったのだが、2025年から背番号は「30」になってしまった。頑張れ、根尾。私の姉のためにも、一桁の背番号に返り咲いてくれ!
ただし例外もある。宇野や田尾よりずっと後に巨人から中日に移籍してきた小田幸平選手は、「O D A」とアルファベット3文字だが、この仲間入りができる雰囲気ではなかった。人柄は良さそうだけど、キャラクターが違う。
そもそも「ODA」って、政府開発援助とまぎらわしい。
仕事に疲れて東京の中央線に揺られていると、間もなく中野駅というタイミングで、窓の外に「O D A」と書かれた黄色く光るドでかい看板が目に飛び込んでくる。私はあれにいちいち反応してしまう。これでも一応は国際政治の専門家だ。“なんだ、織田調理師専門学校か”って分かるまで「んっ?」ってなる。なぜか毎回なる。
背番号の話題ではぜひ取り上げておきたかったのが、福留の背番号「1」だ。背中の文字は「F U K U D O M E」で、バランスはまあまあだ。しかし、見る角度によって「んっ、福岡ドーム?」ってなるのだ。まぁ、どうでもいいのだけど。
(第8回に続く)
※『人生で残酷なことはドラゴンズに教えられた』より一部抜粋・再構成
【プロフィール】
富坂聰(とみさか・さとし)/1964年、愛知県生まれ。拓殖大学海外事情研究所教授、ジャーナリスト。北京大学中文系中退。1994年、『龍の伝人たち』で21世紀国際ノンフィクション大賞・優秀賞を受賞。『中国の地下経済』『中国の論点』『トランプVS習近平』など、中国問題に関する著作多数。物心ついた頃から家族の影響で中日ファンに。還暦を迎え、ドラゴンズに眠る“いじられキャラ”としての潜在的ポテンシャルを伝えるという使命に目覚めた。